カラーマネジメント・ディスプレイのすすめ

<カラーマネジメントの4回目>

カラーマネジメントの必要性を痛烈に感じたのが2012年に初個展を開催すると決めたときです。全倍サイズ(900mm×600mm)の印画紙を35点展示するのに、東京のラボに一枚一枚色見本を添付して、再度、ラボ側で色を追い込んでいくような作業をするなど想像すると気が遠くなる思いでした。鹿児島で作業する私のPCモニターと東京のラボで出力する印画紙の色がなんとか近似値にならないか、真剣に考えた結果、たどり着いたのが、カラーマネジメント・モニターの導入でした。

日本国内では、複数のメーカーがカラーマネジメント・ディスプレイを販売しています。価格も以前と比べると購入しやすい程度まで下がっていますので、プロ以外の写真愛好家にも身近な存在になってきています。
私が、購入するにあたって判断材料としたのが、

● モニターの左右・上下から見た絵の色変化が少ないこと(視野角が広いこと)。
→ IPSパネルを選択
● AdobeRGBの色域をできるだけ広く再現できること。
● キャリブレーションを自動化する専用ソフトがあること。
● 納得できる価格であること。

上記のことを網羅するディスプレイとして最終的に選んだのが
NECディスプレイソリューソンズが販売する、
MultiSync LCD-PA271W です。

DPP_0002.JPG

このディスプレイの色はとても自然な発色で、しっとりとした感触です。出力された印画紙と元となる映像を比較しても、違いがわからないほどの自然さです。
現在は、MultiSync LCD-PA241W も導入してダブルディスプレイにしています。一つのモニターで写真を見ながら、もう一方でブラウザーやパレットを操作することで、大量の写真を効率よく操作できるようになりました。

DPP_0001.JPG

なお、最新のNECのカラーマネジメントディスプレイは → こちらをご覧ください。

ここで気をつけたいのが、モニターごとに画素ピッチが異なるということです。画素ピッチが狭いモニターでは、ソフトのメニュー文字が細かくなるので、エクセルやワードなどで事務作業をする方には使いづらいかもしれません。映像や写真を扱うことに特化したカラーマネジメント・モニターなどは、画素ピッチが狭くなる傾向がありますので、購入前にモニターの仕様を確認することをお勧めします。でも、これも使っていると慣れてくるものです。私も上記モニターで事務作業もしています。

最後になりますが、カラーマネジメント・モニターを導入しキャリブレーションが自動化されたことによって、その煩雑さから解放されたことは、カラーマネジメント・モニターを導入した最大の利点といってもいいくらいです。いま、どんどん新しいカラーマネジモニターが開発されています。モニターの選択肢の幅が広がっていくことは、とてもいい時代になったと思います。

次回は、カラーマネジメントでとても重要な、作業をする部屋の環境光についてまとめてみたいと思います。ただ、こんな話しに興味をもってくれる方がどのくらいいるのか不安にもなりますが、まあ、記録としてまとめてみます。

白色点とガンマ値と輝度と?

<カラーマネジメントの3回目>
「白色点・色温度の実際の設定について記します。」と言っておきながら、カラーマネジメントについて長く記載していませんでした。友達からカラーマネジメントの続きを早くとの声もあり、私なりのカラーマネジメント設定を記載したいと思います。

写真は、機材というハードに依存した表現活動です。頭のなかにある映像はPCの液晶に移った時点で既に誤差が生じ、液晶のなかの映像が果たして同じ色として紙媒体に出力されるかというと、そこにまた誤差が生じます。少なくともPCの液晶の映像が、できるだけ誤差なく出力できないものか、写真にたずさわる人、誰もがもつ願望です。しかし、前回の記事にも書きましたが、デジタル時代になった今、フイルムという絶対的な物質が無くなり、なにをもって正しい色とするのかわからなくなってしまいました。デジタル時代に合わせた基準が必要となってきたのです。その基準が、「白色点とガンマ値と輝度」ということになるのでしょう。しかし、これがまた、これが正解ですという「白色点とガンマ値と輝度」の値が不確定なのです。私が不勉強なのでしょうが、カラーマネジメントについて記載した資料を読んでも、なかなか統一した基準が見出せません。こうなったら、自分で決めるしかありません。

いろいとろ長くなりましたが、印画紙に出力された写真をもとに、もっとも誤差のないPC液晶側の「白色点とガンマ値と輝度」を、私なりの経験から次のように設定しています。それは

白色点:5000K(D50)
ガンマ値:2.20
輝度:80.0cd/
ちなみに
色域:Native(Full)

キャプチャ.JPG

色域については、撮影時にsRGBまたはAdobeRGBに設定しているのであれば、液晶側もそれに合わせるべきだと思うのですが、私的には液晶が持つ最大色域Native(Full)にしています。その方が、問題なくしっくりいくように思えます。
また、「色域がsRGBまたはAdobeRGBであれば、白色点は6500K(D65)が基準」とよくありますが、実際の印刷物と比べるやはり液晶の画像は青白く、私にとってはやはり5000Kがしっくりいくのです。

以上、あくまでも私の経験値より、でした。

「白」って何色?

<カラーマネジメントの2回目>
ラボから仕上がってきた写真プリントが、自分でイメージしていたものより、とてもアンバー(黄色系)に偏っているなと思うことがあります。私もコンピュータに付属していたチープな液晶ディスプレイで映像を見ていたときは、仕上がってくるプリントの色の違いに困惑していました。しかし、これは、プリントに問題があるわけではなく、自分が見ているディスプレイの色がブルー系に偏っているために起こる現象です。

現代の日本人が、「白色」と認識している色は、本当に「白色」なのでしょうか。以前、名刺を作成するために台紙を探してるときに、黄色味がかった台紙を見せられて、「これが本来の白色です」とデザイナーに教えられたことがあります。

通常、日本で販売されているコンピュータやテレビの初期設定の色温度は6500K(ケルビン)以上の青っぽい色に設定されています。これは、現代の日本人が青っぽい白に清潔感や爽快感を感じるために、その設定を初期設定としているのでしょう。また、リビングなどで使用されている蛍光灯の「昼光色」も6500Kといった青っぽい光です。黄ばんだ下着も、もしかしたら「白色」なのに、漂白されて「白色」と認知されているのです。

もう一度、和紙などの白をながめて、本来の「白色」とはどんなものなのか再認識することが必要でしょう。カラーマネジメントも、カメラからプリントまで「白色」という白色点が一貫していることがとても大事です。カラーマネジメントは、色にたずさわるフォトグラファーが大事にすべき「作法」と言えます。もう一度、「黄ばんだ白」に慣れましょう!

次回は、白色点・色温度の実際の設定について記します。

フィルムからデジタルへ

<カラーマネジメントの1回目>
ポジフィルムでラボに入稿していた頃は、ライトボックスに写しだされるポジの色自体が色見本としてラボの技術者に伝わるので、特殊な焼き方を希望しない限りは、色見本のプリントなしでも、ポジの映像と仕上がったプリントに大きな差異はありませんでした。

しかし、デジタルデータによる入稿になってから、自分が見ているディスプレイとラボから仕上がってくるプリントの色を近づけるためには、仕上がる写真をイメージした色見本のためのプリントを何枚も作成する必要がでてきました。そうしない限り、ディスプレイの映像とプリントの色が合わないってことがたびたび起こりました。デジタルの時代になったにもかかわらず、プリントで色を追い込んでいくという煩雑でコストのかかる作業が発生するとは、本当におかしなことですね。

そこで、これを解決するために、デジタル写真に携わるフォトグラファーが、どうしても避けて通れない「カラーマネジメント」という概念について、数回に分けて記してみたいと思います。しかし、あくまでも私の経験値について記してみます。

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